つい先日、結婚式を挙げました。

ぼくがソフトウェアエンジニア、奥さんが電子工作やプロトタイピングが得意なハードウェア寄りの人という「ものづくり夫婦」なので、自分たちらしい結婚式にしよう!ということで色々手作りしました。

せっかくなので、今後手作りしてみたい人の参考になるように、個人でもこういうのは自作できまっせっていう事例として記事に残します。

前提

式場はホテルや専門式場ではなく、昔からある迎賓館のようなところで、人数は新郎新婦入れてちょうど100人でした。

格式高い会場なので、堅苦しくならないようにしたいというのも、色々手作りした理由の一つです。

主に使用した機材

3Dプリンター

年末にこの記事を見てテンション上がってしまい、今年に入って自宅用に購入しました。

たった3万円から始める家庭に3Dプリンタがある日常

購入したのはこちら。

QIDI技術3Dプリンター/ ABS / PLA 1.75mm デュアル押出/色

QIDI技術3Dプリンター/ ABS / PLA 1.75mm デュアル押出/色

amazonでレビューを色々見比べて購入しましたが、かなり満足してます。

Fusion360で、ある程度単純な形のものは自分でモデリングもできるようになってだいぶ楽しいです。

レーザーカッター

こちらは自宅にはないので、主にTechShopで作業しました。

TrotecのSpeedyというシリーズで、木の板を切ったり彫刻したり、紙を細かくカットしたりと獅子奮迅の活躍でした。

こちらはillustratorでデータを作ればその通りに切ってくれます。

3Dプリンターもレーザーカッターも、思い通りの結果になるように設定を微調整する必要はありますが、根気よくトライ&エラーを繰り返せばわりとなんとかなります。

モチーフ

モチーフ

奥さんが電子工作、ぼくがプログラミングということで、角ばったハートの左半分が電子回路、右半分がキーボードという素敵なロゴマークを、奥さんの元同僚の方が作ってくれました。

今回の手作り品は全てこのモチーフを使っています。

感謝。

作ったもの

それでは本題です。

1. ウェルカムボード

ウェルカムボード

大きさは約58cm×63cm。

芳名帳の代わりにこの小さなハートのアクリルに名前を書いて上部の穴から入れると、最終的にゲスト全員の名前が入ったウェルカムボードが完成するというやつです。

ハートドロップと言うらしいです。

材料はMDF(木の合板)・画用紙(白&赤)・アクリル版です。

購入したMDF↓

MDF 【2.5×600×900mm】

名前を書くアクリルはこれです

ハートのアクリル

一見簡単そうですが、

  1. 背中の板
  2. 白画用紙
  3. 電子回路の模様をレーザーカッターで切り抜いた赤画用紙
  4. 大きなハートが切り抜いてあるMDF
  5. 投入口が切り抜いてあるアクリル版
  6. 一番外側の枠(MDF)

という6層構造になっていて、地味にこの設計に苦労しました。

“Welcome to Our Wedding” などの文字は4層目のMDFに彫刻していて、彫刻も切り抜きも全てレーザーカッターで行っています。

1・4・6のMDFは全て厚さ2.5mm、アクリルは2mmです。

画用紙と木、木と木の貼り付けをほとんどスプレーのりでやってたんですが、やっぱりはがれやすいのでボンドでやるべきでした。

あと結婚式終わってちょっとはがれかけたりした関係で、名前のアクリルが重なっちゃったり隙間に挟まっちゃったりして、後から開けられる構造にする必要があるなあというのも反省点です。

2. 受付の両家名札

受付の両家名札

  • 2.5mmのMDFをレーザーカッターでハートの形に切る
  • 同時に「村田家」「佐藤家」の文字の位置だけレーザーカッターでうっすらガイドの線を入れておく
  • 白い画用紙を、ガイドと同じ大きさにレーザーカッターで切る
  • MDFを赤く塗装する
  • 文字の形に切った白画用紙をガイドに合わせて貼り付ける
  • 支えになる部分もMDFを三角形と四角形にカットして、組み合わせてから背中にボンドで貼る

という感じで作りました。

こうやって立ってます

受付の両家名札の背面

3. 受付の人用アクセサリ

受付の人用アクセサリ

受付をお願いしている友人達にも何かつけてもらえないかと思い、3Dプリンタでリボンを出力しました。

新郎側の2人には、ゴムひもとスナップボタンをつけて蝶ネクタイに。

新婦側の2人には、ヘアゴムをつけてリストレットにしました。

4. 受付のガーランド

受付のガーランド

白・赤・黒の画用紙をレーザーカッターで切って、スプレーのりで貼り合わせるだけであら素敵。

立派なガーランドの完成です。

白画用紙に黒文字と赤ハートを貼る場所のガイドもレーザーカッターで入れるんですが、切り抜かないように弱く設定しておくのが大事です。

紐を通す穴ももちろんレーザーカッターで開けてます。

5. テーブル番号札

テーブル番号札

テーブル番号をA・B・Cではなくプログラミング言語にしたので、テーブルに立てる札も自作しました。

両家名札と同様、赤く塗装したMDFに白画用紙を切り抜いた文字を貼り付けて作ってます。

スタンドは式場のものをそのまま使いました。

アルファベットの羅列が地味にかっこいい

アルファベット

文字を切り抜いた後の画用紙もちょっとかっこいい

切り抜いた後の画用紙

6. 席札

席札

ゲストが会場について自分の席を探す時に見るやつです。

裏に一人ひとりメッセージが書いてあったりするアレです。

レーザーカッターでこんなに細かく切り抜くこともできます。

折り目を入れて折りやすくしつつ、中にメッセージカードを別途入れるための切れ込みも入れておきます。

開くとこんな感じ

席札オープン

この白いカードにメッセージを書きました。

7. 入刀用ケーキ

入刀用ケーキ

入刀すると光るケーキを作りました。これが一番大変でした。

光る前はこんな感じ

入刀用ケーキ光る前

このリボン、実は赤い紙粘土でできてます。

奥さんの神テクニックで、帯状に伸ばした紙粘土をうまく丸めたりひっつけたりしてこの形を作ってます。

自分で再現できる気がしない。

そして中身ですが、木で作ったハート型の箱の中にLEDが入っています。

LED

NeopixelのテープLEDを2本つなげて、arduinoで光り方を制御しています。

木の蓋の方は光らせたい部分だけレーザーカッターで切り抜いて、

入刀用ケーキ上部

上から白い画用紙を貼るといい感じに抜いた部分がわからなくなります。

最初はケーキっぽい質感を求めて白い紙粘土を敷くとか乳白のアクリルで光を発散させて・・・とか色々試行錯誤しましたが、発色と光ってない時のケーキっぽさが一番よかったのはこの厚手の画用紙でした。

電源部分はこちらのモバイルバッテリー

ボタンを押すと電源が入るタイプなのが都合よく、電圧も120個のLEDを光らせるのに十分でした。

このボタン部分に3Dプリンターで作ったスイッチをボンドと養生テープで貼り付けて、このようにケーキの上から押せるようにしています。

入刀用ケーキスイッチ

スイッチのモデル

入刀用ケーキスイッチのモデル

「それではケーキ入刀です!」の声に合わせて、2人で入刀用のナイフでこのスイッチをカチっと押すと光り出すという寸法です。

ゲストの皆様からは、「ハートを真っ二つに切るんかと思ってヒヤヒヤした」といったお声を多数頂戴しました。

8. 入刀用ケーキの支え

ケーキの支え

このでかくて重いケーキを支えるために、3Dプリンターでほぼ最大サイズの支えを出力しました。

やっぱり大きいサイズで単純な形のは割れたり曲がったりしてあんま3Dプリンター向いてないかもっていう感じです。

それでも、ケーキの底を穴があいた壁にして、この手前の四角い出っ張りをぶっ挿すとなんとか倒れない程度にはなりました。

9. ムービー

ムービー

プロフィールムービーとエンドロールを自作しました。

ソフトはAfter EffectsとPremiere Proを使いました。

After Effectsは、オープニングに例のモチーフを使ったアニメーションを作ったぐらいで、写真と動画・音楽を組み合わせる作業はほぼPremiere Proで行いました。

これもケーキと並んで時間かかって大変でしたが、テンプレートに当て込むだけではなく思い通りに作れるのは楽しかったです。

自分たちの特技ややってきたことがわかるように、動画も多めに使いました。

初After Effects作品:プロフィールムービーのオープニング

10. ビール

ビール

木内酒造というところでオリジナルビールを手作りし、デザート&おつまみビュッフェで振る舞いました。

常陸野ネストビールが有名なだけあって、出来上がったビールは味も大好評でした。

オレンジピールを入れたのが個人的にもハマったので、また同じの作って飲みたいぐらいです。

ラベルもillustratorで作って入稿すれば印刷してシールの切れ目も入れてくれます。

貼る作業は自分でやる必要があったので、それだけがんばって内職しました。

11. 栓抜き

栓抜き

ある日Thingiverseを眺めてた時に、いけてる栓抜きを見つけたので出力してみました。

外国のコインに合わせて作っているせいか、配ってるデータのまま1円を入れて使ってみると、1円が曲がってしまいました。

1円を外してやってみると、今度はプラスチックの部分が欠けてしまいました。

仕方ないのでこれっぽいデータを自分でモデリングして、なかなかうまくいかず悔しいので色々試行錯誤してたんですが、「手作りビール出すなら栓抜きも手作りしよう」ということになりました。

最終的にはなんとか開けられる&磁石に王冠がひっついて飛ばない!というところまで作れて、当日もゲストにそれ使って開けてもらったんですが、まだまだコツが必要で改善の余地ありです。

途中で調べてみたら、ちゃんとしたのがamazonで2,500円ぐらいで売ってました。

GrOpener 片手で開栓できる栓抜き

amazonの栓抜き

改善バージョンができたら1,500円ぐらいなら売れるかしら。

12. THANK YOUボード

THANK YOU

最後のお見送りの時に新郎と新婦の間にこのTHANK YOUボードを設置しました。

エンドロールの最後にテロップ代わりにこのボードが出てきて、帰りにそれが置いてあるっていうニクい演出やったんですが、誰にもツッコまれませんでした。

赤く塗装したMDFに、これは画用紙ではなくレーザーカッターで切って白く塗装したMDFを貼り付けてます。

スプレーのりで貼ったんですが、お見送り中にぽろぽろ落ちてきて、これもボンドでつけとけばよかったと後悔しました。

まとめ

というわけで、作ったものたちを駆け足で紹介してみました。

これ以外にも席次表とかメニューとかも自作していますが、これはillustratorでデザインして印刷業者に頼んだだけなので割愛してます。

ちなみに、ぼくがやったのは3Dプリンターまわりとムービーとarduinoのプログラミングぐらいで、illustratorとかレーザーカッターとかほとんど奥さんです。ハイスキルすぎる。

おかげで色々勉強にもなったし楽しかったです。半年間準備した2人文化祭みたいな感じで、前日とかは「もう終わっちゃうんかー」っていう寂しい気持ちになりました。

またなんか作りたい。